第1章 ― ペンギンとしろくま ―

第1章 ― ペンギンとしろくま ―

第1章 第5節 北の空に走る光 ― 旅立ちの灯 ―

 翌日の昼、雪が薄く積もる明るい通りを、ユキミアはゆっくりと歩いていった。胸の奥には、昨夜古文書から感じた“囁き”がまだ残っている。  スプーン亭の扉を押すと、暖かい空気と食堂の香りがふわりと広がった。奥の席でしろまるがこちらへ手を挙げた...
第1章 ― ペンギンとしろくま ―

第1章 第4節  魔物の出現 ― 凍てつく夜の中で ―

 夜空を裂いた黒い稲妻の余韻がまだ残っていた。普段なら雪に包まれ、静けさと白光に満ちているユーフロストの街。しかし今夜だけは違っていた。冷たい風が通りを駆け抜け、明かりを手にした人々が通りへ飛び出していく。遠くで鳴り響く悲鳴が、街の静寂を引...
第1章 ― ペンギンとしろくま ―

第1章 第3節 古文書の囁き ― 忘れ去られた種族 ―

その夜、風が宿の壁をかすかに叩いていた。今夜は珍しく雲が晴れ、月の光が雪の街を淡く照らしている。通りに積もった雪は銀色に輝き、静けさの中に光の粒が漂っていた。人々が寝静まった後も、宿の一室だけは小さな灯りが消えずにいた。  机の上には分厚...
第1章 ― ペンギンとしろくま ―

第1章 第2節 スプーン亭の依頼板

スプーン亭の朝は、パンの焼ける匂いとベーコンの焼ける匂いがまじる独特のあたたかさに包まれていた。ここスプーン亭はギルド支部と食堂を兼ねており、冒険者たちにとっては仕事の拠点であり、同時に心休まる憩いの場でもある。木の床を踏む音、氷のカップに...
第1章 ― ペンギンとしろくま ―

第1章 第1節 雪灯《ゆきあかり》の街

夜の街は、静かに息をひそめていた。粉雪が舞い、凍てついた石畳には、街灯の灯りがやわらかく反射している。川沿いに並ぶ古い石造りの倉庫と家々の屋根は、琥珀色の光を受けてほのかに輝き、流れる水面には光の帯がゆらいでいた。雪灯《ゆきあかり》が一つ、...
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