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REIT 05中級J-REIT・銘柄分析

アドバンス・レジデンス(3269)を分析
住宅REITの安定性と見落としやすい費用

住宅特化型REITを、物件分散、稼働率、入替えコスト、分配金予想から読みます。

2026.07.19更新約22分データ・分析編
ANALYSIS GUIDEハータのデフォルメイラスト
J-REITハータ

住宅は安定しやすい。でも退去と募集費用は毎月動くよ。

CONCLUSION

先に結論

289物件への分散と生活に近い需要が強み。一方、退去・募集費用、人口移動、借換えコストがDPUへどう効くかを見ます。

289物件保有物件数2026年7月7日
5,053億円取得価格合計同時点
95.2%稼働率2026年6月
WHY THIS MATTERS

このテーマを、もう一段深く考える

アドバンス・レジデンスは289物件を持つ大規模な住宅特化型REITです。住宅は企業業績より日常生活に近く、1契約が小さいため収益が分散しやすい特徴があります。

ただし住宅REITの利益は稼働率だけでは読めません。入替え時の賃料増減、原状回復費、仲介手数料、広告費、フリーレントがNOIを左右します。95.2%という稼働率の内側を見ます。

01|ANALYSIS

住宅REITの収益は、多数の入居者の家賃

オフィスや物流より1契約が小さく、多数の住戸へ分散しやすい一方、入退去が頻繁です。

基礎データ
確認項目公表値読み方
保有物件289物件物件数の分散
取得価格合計5,053億円住宅特化型で大規模
稼働率95.2%入退去で月次変動
2026年1月期DPU3,220円直近確定値
02|ANALYSIS

予想DPUが下がる理由を確認する

2026年7月期3,162円、2027年1月期3,090円の予想で、直近実績より低い水準です。

一時要因

物件売却益や内部留保の取り崩しが過去DPUを押し上げていないか確認します。

通常収益

賃料増額、稼働率、管理費・修繕費から、本業の分配可能利益を見ます。

予想前提

物件取得・売却、借入金利、稼働率の前提が現実的か決算資料で確認します。

03|ANALYSIS

住宅は景気に強いが、無風ではない

住まいは必要性が高く、企業の大型退去より収益変動が分散しやすい特徴があります。

一方、引っ越しが多い繁忙期には原状回復、仲介、広告などの費用が増えます。地域の人口減少、競合物件の供給、築年数による修繕費も効きます。

95%前後の稼働率でも、賃料単価が上がり、入替え費用を抑えられれば利益は伸びます。逆に高稼働でもフリーレントや募集費用が増えれば、手取りは伸びません。

DEEP ANALYSIS

ここからが、中級者向けの深掘り

表面の数字を、実際の判断へつなげます。

RESIDENTIAL ECONOMICS01

住宅の入替えは、費用を払って賃料を上げる投資

入居者が退去すると原状回復、募集、仲介、場合によってはフリーレントが必要です。新規賃料を上げられても、その増収で初期費用を回収するまで時間がかかります。

例えば月額賃料を5,000円上げても、募集関連費が30万円増えれば単純回収に60か月かかります。実際は空室期間や更新料、管理費もあるため物件ごとの採算を見ます。

一方、既存入居者の更新時増額は空室と募集費用を伴わないため利益へ残りやすい成長です。新規契約と更新契約を分けて賃料改定率を確認します。

GEOGRAPHY02

人口減少でも、すべての住宅需要が減るわけではない

日本全体の人口が減っても、東京圏や主要都市への人口流入、単身世帯の増加、世帯人数の減少は賃貸住宅需要を支えます。国全体の人口だけで住宅REITを判断すると地域差を見落とします。

確認したいのは物件の地域、駅距離、間取り、賃料帯です。同じ都市でも高額物件と単身向けでは景気感応度が違います。大学や大企業への依存度も退去リスクへつながります。

289物件への分散は強みですが、東京集中が高ければ地震や地域政策のリスクは残ります。物件数と経済圏の分散は別に考えます。

地域

人口流入、雇用、交通利便性、供給戸数を確認します。

間取り

単身、ファミリー、高額帯で入居期間と需要が変わります。

築年数

修繕費と競争力、建替え・売却の選択肢に影響します。

DPU QUALITY03

内部留保と売却益を除き、巡航DPUを考える

2026年1月期DPUは3,220円。予想は2026年7月期3,162円、2027年1月期3,090円です。実績から下がる理由を、賃貸利益の悪化と一時要因の剥落に分けます。

住宅REITは物件売却益や内部留保を使ってDPUを平準化することがあります。これは安定化に役立ちますが、本業の利益成長とは別です。売却益・留保取崩し前のDPUを推定します。

DPUが維持されてもNAVが減っていれば、資産を使って分配を支えている可能性があります。DPUと1口当たりNAVを同時に追います。

THREE VIEWS

強気・弱気、両方の材料を見る

一つの結論へ寄せず、見方が変わる条件を並べます。

強み01

多数の入居者と生活需要

企業1社の退去に左右されにくく、景気後退時も住居需要は残りやすい特徴があります。

弱み02

入替え費用と修繕費

退去が増えると稼働率だけでなく原状回復・募集費用が利益を圧迫します。

評価の分岐03

既存契約の賃料増額

空室費用を伴わない更新増額が広がれば、質の高い内部成長になります。

PRACTICAL CHECK

実際に資料で確認する項目

月報・運用報告書・決算説明資料を開いたら、ここを見ます。

  1. 01
    入替え率

    退去戸数と新規契約数、平均空室日数を確認します。

  2. 02
    新規・更新賃料

    二つを分けて上昇率を見ます。

  3. 03
    募集関連費

    賃料増額が広告費やフリーレントを上回るか確認します。

  4. 04
    巡航DPU

    売却益と内部留保取崩しを除いて比較します。

  5. 05
    地域・間取り構成

    人口流入と供給が需要に合っているか見ます。

EDITOR'S TAKEAWAY

ここまで読んだ人へ

住宅REITの安定性は、需要がなくならないことだけではありません。多数の契約が分散し、賃料改定と費用管理を細かく積み上げられる点にあります。

投資判断では95.2%の稼働率を入口にし、更新賃料、入替え費用、巡航DPU、NAVへ進みます。数字を一段ずつ分解すると住宅REITの質が見えてきます。

RISK CHECK

数字と一緒に確認したいこと

  1. 1

    住宅需要は地域・間取り・賃料帯で異なります。

  2. 2

    高稼働率でも募集費・修繕費の増加で利益が減る場合があります。

  3. 3

    予想DPUには物件売却や内部留保など一時要因が含まれる場合があります。

METHOD

集計・計算について

アドバンス・レジデンス公式サイトの2026年7月7日時点ポートフォリオ、2026年6月稼働率、2026年1月期実績と将来予想を使用。

出典・確認先

数値は記載した基準日時点です。掲載内容は情報提供を目的とし、特定商品の購入・売却を勧めるものではありません。過去の実績や試算は将来の成果を保証しません。