公募割れIPO、
戻るまで持つ? 66銘柄を調べてわかったこと
「いつか公募価格まで戻るだろう」は、本当に待つ理由になるのか。2021年11月から2025年7月までの公募割れIPOを調べました。
先に結論
公募割れが大きいほど、公募価格まで戻りにくい。5営業日後・20営業日後に公募価格を上回っていた銘柄は少なく、理由のない「戻り待ち」なら初値で手放すほうが無難だった銘柄が多い結果でした。
ティアフォーは、戻り待ちで持ったわけではない
私はティアフォーのIPOに当選し、NISAで買いました。公募価格は1,085円、初値は1,009円。スタートは公募割れでした。
それでも手放さなかったのは、「そのうち公募価格へ戻るだろう」と考えたからではありません。自動運転が日本を変えるという狙いがあり、来年ごろまで見るつもりで買っていました。むしろ、株価が動き始めるのは想像より早かったくらいです。
では、そこまで明確な狙いがない公募割れIPOも、同じように持ち続けてよいのでしょうか。自分のケースと切り分けるため、公募価格を基準に調べ直しました。
20営業日後でも、公募価格を上回ったのは15.2%
5営業日後の終値で公募価格を上回っていたのは66銘柄中6銘柄。20営業日後でも10銘柄でした。
| 判定時点 | 銘柄数 | 割合 | 公募価格比・中央値 |
|---|---|---|---|
| 5営業日後の終値 | 6 / 66 | 9.1% | −13.8% |
| 20営業日後の終値 | 10 / 66 | 15.2% | −19.0% |
| 上場日〜20営業日後の高値 | 33 / 66 | 50.0% | — |

期間中に一度でも公募価格を上回った銘柄は50.0%。つまり、半分は戻る場面がありましたが、残り半分は20営業日の高値でも届きませんでした。また、一度戻ったことと、20営業日後も公募価格の上にいたことは別です。
初値の下落が大きいほど、戻りにくい
公募割れ幅で分けると、差ははっきり出ました。初値が公募価格を10%以上下回った銘柄で、20営業日以内に一度でも公募価格を上回ったのは18.2%です。
| 初値の公募割れ幅 | 銘柄数 | 一度でも公募価格超え | 20営業日後の中央値 |
|---|---|---|---|
| 10%以上 | 11 | 18.2% | −38.2% |
| 5%以上10%未満 | 39 | 48.7% | −19.7% |
| 5%未満 | 16 | 75.0% | −9.1% |

大きく下げたから安い、と単純には言えません。今回のデータでは、割れ幅が大きい銘柄ほど戻りにくく、20営業日後の下落も深くなりました。
狙いがないなら、戻りを待たない
初値で売った場合と、そのまま保有した場合も比べました。5営業日後では71.2%、20営業日後では77.3%の銘柄で、初値売りのほうが有利でした。
| 比較時点 | 初値売りが有利 | 保有が有利 | 保有時の初値比・中央値 |
|---|---|---|---|
| 5営業日後 | 47 / 66(71.2%) | 19 / 66(28.8%) | −5.8% |
| 20営業日後 | 51 / 66(77.3%) | 15 / 66(22.7%) | −12.2% |
もちろん、個別銘柄ではその後に大きく上がる例もあります。ただ、短期の過去データだけを見れば、「公募価格に戻るまで」という理由で持つのはリスクが高い。初値で手放すほうが無難だった銘柄が多かった、というのが今回の答えです。
私がティアフォーを持てたのは、自動運転という長期の狙いがあったからです。公募価格への戻り待ちではありません。公募割れIPOを持ち続けるなら、含み損とは別に、その会社を持つ理由を言えるか。そこは分けて考えたいと思います。
最後に、3行でまとめると
初値の下落率が大きいものほど、公募価格まで戻りにくい。
5営業日後・20営業日後に公募価格を上回っている銘柄は少ない。
20営業日以内に一度でも公募価格を超えたのは50%。狙いのない戻り待ちなら、初値で手放すほうが無難だった銘柄が多い。
数字を見るときの注意
- 1
対象は2021年11月22日〜2025年7月25日に上場した公募割れIPOのうち、日足を確認できた66銘柄です。
- 2
売買手数料・税金・スリッページは含めていません。
- 3
過去の短期データであり、個別銘柄の将来や売買判断を保証するものではありません。
集計方法
JPX等から上場日・公募価格・市場区分を整理し、保有する日足データと照合。初値が公募価格を下回った66銘柄について、上場日を0営業日目として5・20営業日後の終値と、0〜20営業日目の高値を公募価格と比較しました。「上回った」は公募価格と同値ではなく、厳密に高い場合です。