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FUND 03中級投資信託・シミュレーション

信託報酬0.1%と1.0%の差
20年後の手取りを同条件で試算

小さく見える年率コストが長期ではどう積み上がるか。100万円+月3万円のモデルで比較します。

2026.07.19更新約20分データ・分析編
ANALYSIS GUIDEノルーニャのデフォルメイラスト
長期投資・資産形成ノルーニャ

将来の利回りは読めなくても、コストは先に比べられますねぇ。

CONCLUSION

先に結論

同じ値動きをする商品なら、継続コストが低い方が有利です。年0.9ポイントの差は、今回の20年試算で約154万円の差になりました。

1,464万円年0.1%の試算結果20年・税引前
1,311万円年1.0%の試算結果同条件
約154万円20年後の差単純モデル
WHY THIS MATTERS

このテーマを、もう一段深く考える

信託報酬は年0.1%や0.5%という小さな数字で表示されます。短期では誤差に見えても、残高が増えるほど負担額が増え、差し引かれた費用には複利が働きません。長期投資では確実に確認できる数少ない変数です。

ただし最安の商品を選べば終わりではありません。指数との連動精度、売買コスト、ファンド規模、税務、乗り換え時の負担まで含めて比較する必要があります。

01|ANALYSIS

今回の計算条件

最初に100万円、その後毎月3万円を20年間。運用前リターンを年5%とし、信託報酬だけを差し引きました。

20年後の概算
年率コスト実質想定利回り20年後0.1%との差
0.1%4.9%約1,464万円
0.5%4.5%約1,394万円約71万円
1.0%4.0%約1,311万円約154万円
02|ANALYSIS

信託報酬だけで決めてはいけない

低コストは重要ですが、投資対象が違えば単純比較はできません。

同じ指数同士

まず信託報酬、実質コスト、指数とのずれ、純資産総額を比較します。

アクティブ型

高い費用に見合う運用方針や実績があるかを、分配金込み・同じ期間で確認します。

隠れた費用

売買委託手数料、保管費用、監査費用などを含む実質コストは運用報告書で確認します。

03|ANALYSIS

コスト差は、残高が大きい後半ほど効く

年0.9%は最初の100万円なら年9,000円相当ですが、残高が1,000万円なら年9万円相当です。

差し引かれた費用は、その後の運用に回りません。この『増えるはずだった利益』も失うため、期間が長いほど差が広がります。

ただしコストだけを理由に頻繁に乗り換えると、売却税・購入手続き・NISA枠の扱いが影響します。保有商品の中身と総費用を確認してから判断します。

DEEP ANALYSIS

ここからが、中級者向けの深掘り

表面の数字を、実際の判断へつなげます。

TOTAL COST01

目論見書の信託報酬と、実際の費用は一致しない

目論見書にある信託報酬は運用管理費用です。実際にはファンド内の売買委託手数料、海外資産の保管費用、監査費用なども純資産から差し引かれます。これらを含めた実質コストは運用報告書で確認します。

海外株式ファンドでは指数構成の変更や資金流出入に伴う売買、配当への外国税、為替取引も連動差の原因になります。表面上の信託報酬が低くても、ベンチマークから継続的に大きく遅れる商品は注意が必要です。

最低でも1年分の運用報告書を見て『総経費率』『売買委託手数料』『ベンチマークとの差』を確認します。設定直後の商品は実績がないため、運用会社の体制や同シリーズの運用実績も参考にします。

TRACKING02

低コストでも指数へうまく連動しなければ意味が薄い

インデックスファンドの目的は指数を上回ることではなく、費用控除前で指数に近い動きを再現することです。指数との差をトラッキングディファレンス、差のばらつきをトラッキングエラーと呼びます。

完全法で構成銘柄をほぼすべて持つか、サンプリング法で一部を選ぶかでも差が出ます。小規模なファンドでは資金流出入の影響が相対的に大きくなり、繰上償還の可能性も確認対象です。

単年の差だけでなく3年程度を並べます。毎年ほぼ信託報酬分だけ遅れるなら理解しやすい一方、年ごとの差が大きければ運用方法を調べます。

信託報酬

事前に示される継続費用。比較の出発点です。

実質コスト

運用報告書で確認する実際の負担。年によって変動します。

連動差

ベンチマークとファンドの騰落率差。税や運用方法も影響します。

SWITCHING03

高コスト商品から乗り換える損益分岐点

課税口座で含み益がある商品を売ると税金が発生します。年0.5%のコストを下げるために、売却益へ約20%課税されるなら、税負担を回収するまで何年かかるかを計算します。

例えば100万円の含み益があり、売却税が約20万円。乗り換え後の残高が1,000万円で年0.5%コストが下がるなら、初年度の差は約5万円です。残高と相場が変わらない単純計算でも回収に約4年かかります。実際は複利と価格変動を含むため目安です。

NISAでは売却益が非課税でも、その年の年間投資枠は戻りません。総枠は買付額ベースで翌年以降に再利用されます。新規積立だけ低コスト商品へ変え、既存分は保有する方法も比較します。

THREE VIEWS

強気・弱気、両方の材料を見る

一つの結論へ寄せず、見方が変わる条件を並べます。

低コスト派01

確実に差し引かれる費用を抑える

同じ指数なら費用差は長期ほど効きます。市場予測より再現性の高い改善です。

運用品質派02

最安より連動精度と安定運用

数ベーシスポイントの差より、資金流出入への対応、規模、指数連動の安定性を重視します。

乗り換え慎重派03

税とNISA枠を忘れない

保有商品のコストだけでなく、売却に伴う税金と機会費用まで計算します。

PRACTICAL CHECK

実際に資料で確認する項目

月報・運用報告書・決算説明資料を開いたら、ここを見ます。

  1. 01
    交付目論見書

    信託報酬、購入・換金費用、信託財産留保額を確認します。

  2. 02
    運用報告書

    総経費率と売買・保管などの費用を見ます。

  3. 03
    月報

    純資産総額、資金流出入、ベンチマークとの差を追います。

  4. 04
    償還条件

    信託期間と繰上償還の条件を確認します。

  5. 05
    乗り換え税額

    含み益、口座区分、NISA枠の再利用時期を計算します。

EDITOR'S TAKEAWAY

ここまで読んだ人へ

コストは重要ですが、投資対象の違いを超えるほど万能な指標ではありません。全世界株と新興国株、株式と債券を信託報酬だけで比べても意味は薄くなります。

まず欲しい資産配分を決める。次に同じ役割の商品を並べ、総費用と運用品質を比べる。この順番なら安さを目的化せず、合理的に選べます。

RISK CHECK

数字と一緒に確認したいこと

  1. 1

    年5%は計算上の仮定で、実際の収益率ではありません。

  2. 2

    信託報酬は将来変更される場合があります。

  3. 3

    低コストでも投資対象が値下がりすれば損失が出ます。

METHOD

集計・計算について

月次利回り=(1+年率リターン-年率コスト)の12乗根-1として、初期100万円と月末3万円を240回積み立て。端数は表示時に丸めています。

出典・確認先

数値は記載した基準日時点です。掲載内容は情報提供を目的とし、特定商品の購入・売却を勧めるものではありません。過去の実績や試算は将来の成果を保証しません。