310のひとりごと。赤いがま口を抱えてソファーでくつろぐ白いクマの310。

最初の取引で6万円以上の利益が出た。でも、しばらくはその数字を信用できなかった。

証券口座の残高は増えている。とはいえ画面の中の数字だ。本当に銀行口座へ移せるのか。ATMから現金として出てくるのか。今なら何を疑っていたのかと思うが、当時は証券口座の仕組みすら分かっていなかった。ゲームのポイントが増えたような感覚に近かった。

そこで実際に出金して、コンビニのATMへ行った。現金が出てきたときは妙にうれしかった。

証券口座から銀行へ移すだけなのに、ちゃんと操作できたか少し不安だった。ATMで残高を確認し、現金まで手にして、ようやく「これはゲームの数字ではない」と納得した。

本当に使えるお金なんだ。

その利益でバルミューダのトースターを買った。バルミューダの株で儲けたので、バルミューダの商品を買う。単純だが、悪くない使い方に思えた。

それからも、その会社の株で利益が出たときに商品を買うことがある。ミヨシ油脂ならクロワッサン。サンリオなら子どものグッズ。毎回ではないが、株価しか見ていなかった会社の商品が家に来ると、その会社が少し身近になる。

利益をすべて再投資した方が、お金は効率よく増えるのだろう。ただ、最初の利益を数字のまま戻さず、トースターに変えたのはよかった。今も使うたび、株を始めた日の訳の分からない興奮を思い出す。

たぶん利益をそのまま口座へ残していたら、最初の6万円はほかの損益に埋もれていた。トースターが残ったことで、初めて株で稼いだお金だけは今もはっきり覚えている。

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