公募価格を超えたIPO、
初値で売る?そのまま持つ? 237銘柄を検証
当選したIPOが公募価格を上回って始まったとき、初値で利益を確定するのか。そのまま持つのか。過去の値動きを調べました。
先に結論
公募価格を上回って始まっても、その強さが続くIPOは少数でした。20営業日後に初値を上回っていたのは32.1%。とくに初値が公募価格の2倍以上になった銘柄は15.5%にとどまりました。
20営業日後も初値を上回っていたのは32.1%
初値で売った場合と、そのまま保有した場合を比べると、初値で利益を確定した方がよかった銘柄が多くなりました。
| 初値と比較 | 5営業日後 | 20営業日後 |
|---|---|---|
| 初値を上回った | 84銘柄(35.4%) | 76銘柄(32.1%) |
| 初値以下だった | 153銘柄(64.6%) | 161銘柄(67.9%) |
| 騰落率の平均 | −2.4% | −6.4% |
| 騰落率の中央値 | −8.8% | −14.0% |

大きく上がった銘柄もあります。20営業日後の騰落率は、Arentが+197.4%、ELEMENTSが+177.2%でした。
ただし、こうした一部の銘柄が平均を押し上げています。全体の中央値は20営業日後で−14.0%。真ん中の銘柄は初値から1割以上下がっていました。
上がる場面はあっても、持ち続ければ取れるとは限らない
初値日の寄り付き後を含む20営業日間では、237銘柄中235銘柄が一度でも初値より高い値をつけました。
期間内の最大上昇率の中央値は+19.8%です。一方、同じ期間の最安値は初値に対して中央値で−26.5%でした。
一度は上がる銘柄が多くても、20営業日後まで初値を上回っていたのは32.1%。途中の高値を狙って持つことと、持ち続ければ利益になることは別です。
市場区分だけでは決められない
市場区分別ではプライムが強く見えましたが、対象は8銘柄しかありません。
| 市場区分 | 銘柄数 | 5営業日後に初値超え | 20営業日後に初値超え | 20営業日後の中央値 |
|---|---|---|---|---|
| グロース | 194 | 32.5% | 28.9% | −16.4% |
| スタンダード | 35 | 45.7% | 40.0% | −12.4% |
| プライム | 8 | 62.5% | 75.0% | +9.1% |
集計期間中は日経平均も上昇していたため、各IPOの初値日から20営業日後までの日経平均とも比べました。プライム8銘柄では、IPO騰落率の中央値が+9.1%、同じ期間の日経平均は+1.9%。日経平均を上回った銘柄も8銘柄中6銘柄でした。
地合いだけでプライムの数字が高くなったわけではありません。ただし、8銘柄から「プライムは保有が有利」と決めることもできません。市場区分別の数字は参考程度に見ます。
グロースだけでも、初値2倍以上は厳しい
件数の多いグロース194銘柄だけに絞り、初値上昇率で分けました。
| 初値の公募価格比 | 銘柄数 | 20営業日後に初値超え | 中央値 |
|---|---|---|---|
| 20%未満 | 44 | 31.8% | −11.9% |
| 20〜50% | 54 | 37.0% | −10.1% |
| 50〜100% | 40 | 32.5% | −18.9% |
| 100%以上 | 56 | 16.1% | −29.9% |

初値が2倍以上になった銘柄の弱さは、市場区分をグロースにそろえても残りました。今回のデータでは、市場区分より初値の上がりすぎを気にした方がよさそうです。
最後に、3行でまとめると
公募価格を上回って始まっても、20営業日後に初値を上回っていたのは32.1%。
初値が公募価格の2倍以上になった銘柄は15.5%。グロースだけでも16.1%でした。
市場区分より、初値がどこまで上がったかを見る。高騰したIPOでは、初値で利益を確定した方が無難だった銘柄が多い結果でした。
数字を見るときの注意
- 1
対象は2021年11月24日〜2025年7月24日に上場したIPOのうち、初値が公募価格を厳密に上回り、20営業日後まで日足を確認できた237銘柄です。
- 2
日経平均との比較は、各IPOの初値日の終値から確認日の終値までです。
- 3
売買手数料・税金・スリッページは含めていません。過去データの検証であり、将来の値動きを保証するものではありません。
集計方法
上場日・公募価格・市場区分を整理し、保有する日足データと照合。初値日を0営業日目として、5・20営業日後の調整後終値を調整後初値と比較しました。初値上昇率は、初値が公募価格をどれだけ上回ったかで区分しています。
