目的
IPOセカンダリは値動きが激しく大きな利益を得ることもできるが、その反面リスクが非常に高いため、初心者が参加することは推奨されない。また、初値が決まる時間も銘柄によって異なり、そこからチャートなどをみてトレードを行うのは、兼業投資家にとって時間の制約的に難しい。そこで、購入時と売却時のルールを決め、ザラバが始まる前や昼休みの間に購入・売却の注文を行えないか検証する。
方法
- 2015~2020年に上場した銘柄を初値形成日から3日間連続で始値で購入し、以下の利確ラインまたは損切ラインに達したときに売却したと想定する。
利確ライン:0.75%、1.0%、1.25%、1.5%
損切ライン:-5.0% - 市場ごとに【高値/始値】が利確ラインに達する割合を求め勝率を求める。
- 勝率×利確ライン+(100-勝率)×損切ライン=1株あたりの期待値(円)
とし、2021年のIPOを1銘柄100万円購入した場合の年間の利損額を求める。 - 2021年のIPO銘柄の株価を確認し、3.で求めた想定額と差が生じたか確認する。
結果①
2015~2020年の上場銘柄数(一部未集計データあり)
東M:353銘柄 JQS:78銘柄 東1:41銘柄 東2:47銘柄
2021年の上場銘柄数
東M:91銘柄 JQS:16銘柄 東1:6銘柄 東2:8銘柄
:期待値最大
利確ライン:0.75%の勝率 (100万円購入時の平均利益) | |||
1日目 | 2日目 | 3日目 | |
東M | 95.2% (4730円) | 92.5% (3200円) | 90.9% (2290円) |
JQS | 96.2% (5290円) | 92.0% (29円) | 82.4% (-2600円) |
東1 | 75.6% (-6520円) | 82.9% (-2320円) | 70.7% (-9390円) |
東2 | 93.6% (3830円) | 87.0% | 80.9% (-3510円) |
利確ライン:1.0%の勝率 (100万円購入時の平均利益) | |||
市場 | 1日目 | 2日目 | 3日目 |
東M | 91.5% (4900円) | 91.0% (4610円) | 87.3% (2350円) |
JQS | 91.0% (4620円) | 85.3% (1200円) | 74.3% (-5410円) |
東1 | 68.3% (-9020円) | 80.5% (-1710円) | 63.4% (-11950円) |
東2 | 87.2% (2340円) | 80.4% (-1740円) | 68.1% (-9150円) |
利確ライン:1.25%の勝率 (100万円購入時の平均利益) | |||
市場 | 1日目 | 2日目 | 3日目 |
東M | 90.9% (6830円) | 86.8% (4270円) | 84.7% (2940円) |
JQS | 89.7% (6090円) | 84.0% (2500円) | 70.3% (-6080円) |
東1 | 68.3% (-7320円) | 73.2% (-4270円) | 63.4% (-10370円) |
東2 | 83.0% (1860円) | 78.3% (-1090円) | 61.7% (-11440円) |
利確ライン:1.5%の勝率 (100万円購入時の平均利益) | |||
市場 | 1日目 | 2日目 | 3日目 |
東M | 88.7% (7630円) | 83.5% (4300円) | 82.4% (3580円) |
JQS | 89.7% (8330円) | 81.3% (2870円) | 64.9% (-7840円) |
東1 | 65.9% (-7200円) | 65.9% (-7200円) | 56.1% (-13540円) |
東2 | 80.9% (2550円) | 76.1% (-5400円) | 57.4% (-12660円) |
100万円購入時の平均利益が最大となるのは
東M
1日目1.5%の時7630円、2日目1%の時4610円、3日目1.5%の時3580円
JQS
1日目1.5%の時8330円、2日目0.75%の時2900円、3日目×
東1 ×
東2
1日目0.75%の時3830円、2・3日目×
上記の平均利益で2021年に1回あたり100万円分の株を購入したと想定すると
東M
91(7630+4610+3580)≒140万円
JQS
16(8330+2900)≒18万円
東2
8×3830≒3万円
3億1,300万円分株を購入することで、161万円の利益を得られると推測される。
ここまではうまくいきそうですが、実際可能なのでしょうか?
次回更新では、2021年に実際にトレードした場合との差額を求めたいと思います。
机上の空論、捕らぬ狸の皮算用、砂上の楼閣、紙上に兵を談ず、畳の上の水練、絵にかいた餅とならないことを願います。
次回は実際に2021年のIPOデータで検証していきます。
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